【激撮!衝撃の現場】秋葉原若年ホームレス「アサリ屋」の生活密着


5月8日のテレビ朝日系列お昼のワイドショー『ワイド!スクランブル』の特集は、秋葉原の若年ホームレスについて。
面白かったので記録


ここでは一人の30代男性にスポットを当ててドキュメンタリータッチでその生活に迫っていた。

「今日は何が目的で?」


「ゲーム」


中川博之さん(仮名)、埼玉出身の33歳。ロングヘアがいかにも印象的なこの男性。
しかしアキバにいるにもかかわらずゲームやフィギュアを眺めるだけで何故か決して店に入ろうとはしない。


レポーターが中川さんに財布の中身を見せてもらうと、所持金はたったの12円。

実は中川さんは、この街で生きるホームレスだった


と続く。


午後10時、ほとんどの店にシャッターが閉められ、人通りがなくなり静まり返った秋葉原
そこに現われた中川さんは一件の店の前に出されたゴミ袋をおもむろに漁り始める。


透明なゴミ袋を外から物色し、袋を開けては手でまさぐり何か探している。
ホームレス特集ということで、何か食べ物を探してるのだろうと視聴者に思わせる。


しかし彼が探していたものは。

「何を探してるんですか?」


「いろいろ」「DVDとかフィギュアとか」


「それを探してどうするんですか」


「売る」


中川さんの生活の糧。それは夜捨てられたDVDやフィギュア。
これを漁るホームレスを特にアキバではこう呼ぶ。


"アサリ屋"


見つけたオタクアイテムを店に売って日銭としているのだ。


ITmedia News:アキバで万引き横行 転売でメイド喫茶通いのオタクも
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0704/27/news023.html


↑のような記事が最近報道されていたが、ゴミ漁りまでして秋葉原にいたいとは。


彼がゴミの中からゲットしたものは、

ガンダムのフィギュア
ゲームキャラクター(チョコボ)の目覚まし時計
なんかのプロモーションDVD数点
ミニカー
アニメ雑誌や漫画雑誌数点

中には新品のものもあるという。


こうしたゴミ漁りの取材中に別の小太りの男性が現われる。
彼は中川さんに親しげに話し掛け、ゴミ漁りの収穫について聞く。
レポーターが話を聞く。

「二人はよく会うんですか」


「たまに・・・昔はライバルか」


「なんでライバル?」


「フィギュアでライバルだったんでwどっちが先来て量を取れるかってw」


どうやら彼もアサリ屋ホームレスらしく、

ホームレス歴3年 島村一朗さん(仮名・23歳)

とナレーションが入る。


店の人に注意されたことはあるが、今はもう何も言われず。
警察官に呼び止められたこともあったが、ちゃんと片付けてね、と言うくらい。


二人が漁ったものは、翌日店に買い取ってもらう、という。



舞台は翌朝に飛ぶ。
中川さんは大きな鞄を引いて店に売りに行く。


売り物の中身はCD10枚、ガンダムや萌えフィギュア数百点


今までの最高売上は16000円
平均2000円から3000円らしいが、最近は買い取ってくれるものが少なく0円のことも。


彼が買い取り店に消えたあと、ホームレスになった経緯が映像に差し込まれる。


彼のホームレス歴はもう十数年。
中学卒業後、レストランやパチンコ店など様々な職業を転々とするが、人付き合いが苦手なためどれも長続きしない。
そんな彼を心配する親とも喧嘩して家出。日雇いの生活。
しかし寝てるときにお金を盗まれることが続き、電車賃や仕事を探すための電話代も盗られてしまい、いつの間にかこう(ホームレスに)なってしまった。
働きたいけど家も金もない悪循環の果て、というこういう特集でよくある原因。


アキバのゴミ漁りは4年前に知人に教えてもらったらしい。


買取店から出てきた中川さん。
成果を聞くと、1280円。ほとんど返品され買い取ってくれる商品が少なかったみたい。


次に中川さんは、秋葉原から離れてしまう。
普通の公道で足を止め、何をするかと思いきや、今度は歩道脇の茂みの中を漁る。
中から出てきたものは大きな袋。
そして袋の中には雑誌や漫画が多数。
どうやらここは中川さんの拾い物保管場所らしい。映像では「家のない彼にとって何より安全な金庫」とナレーションしていた。
日テレのネカフェ難民特集ではコインロッカーが保管場所になっていたが、そこまでお金もないらしい。
売るための本を数冊取り出して、再び袋を茂みに戻す中川さん。


歩き疲れた中川さんはいつもの寝床に向かう。
普通のホームレスと違い、彼は身なりに気を使う。風呂に入れないかわりに、香水を体に吹きかけにおいをごまかす。
一見するとホームレスとは誰も思わず、ただのアキバオタクだ。


今度は秋葉原から離れた違う買取店に向かう。
ここは他より買値が高いらしい。
しかし結果は400円ほど。思うような成果が出なかった。


お金を手にした中川さんが向かう場所は空腹を満たすためのレストランではなく、インターネット喫茶。
ホームレス生活の中川さんの唯一の楽しみが、手にしたお金でネットゲームを楽しむことにあるという。


人通りが少ない公道。
そこに一人のおばあさんがやってくる。
彼女は近所の住人で、彼がホームレスやってるのを見て哀れんで、毎日食べ物など届けにきてくれるという。
まだ若いんだから更正してやり直して欲しい、と思って援助してるらしい。
こちらは一見するとただの野良猫への餌付けにしか見えない。
ここでレポーターが彼の夢を聞いてみる。

「今やりたいことは?」


「自転車で荷物運ぶような・・・小さい奴だけど」


「自転車便?」


「うん、そうそう。お給料もいいし「運転免許が無くても大丈夫」って書いてあったから」


しかし夢はあるが、ホームレスをやめるきっかけが掴めないという。


最後に「こういう生活はやめられない?」と聞かれ、
中川さんは「まあ、やめっ・・・たいんだけどねー・・・」と頭の後ろで手を組んで話す。


追記(コメント欄より)
同じ番組のキャプチャー付レビューです。
フィギュア萌え族(仮)犯行説問題ブログ版・サブカル叩き報道を追う テレビ朝日「オタクの末路はホームレス」秋葉原
http://blog.goo.ne.jp/kotoba_mamoru/e/20b9b424f3d8c86ecaba464417ea33b7


6月5日追記
前述のレビューの方がニュース映像から取材過程を詳細に検証してくれました。
ワイドスクランブル「アキバホームレス」報道映像の検証
http://www.geocities.jp/kotoba_mamoru/finger_pointing.html


ワイドスクランブルで注目を集める特集は夕方のスーパーJチャンネルでもだいたい取材映像そのままにナレーションだけちょっと変えて使いまわされるんですが、「アサリ屋」特集は自分の確認する限り今まで再放送はなかったんですよね。ネカフェ難民や大人のマナー違反などの特集はすぐに放送されたのに。
ここまで視聴者の受けを狙うためだけに都合よく切り貼りされた映像じゃ、そりゃ再放送されることありませんねー。


実際秋葉原に若年オタゴミ拾いホームレスが存在するのかどうかは分かりませんが、こんだけ意図的な編集があるということは、それほどもの珍しい取材対象じゃなかったということかな。面白い絵はとれなかったんだろう。